預貯金の相続手続きやり方を完全解説|遺言書の有無別に流れを紹介

- 預貯金の相続手続きは、まず取引金融機関へ死亡を連絡することから始まる。
- 金融機関が死亡を把握すると、その口座は原則として入出金が制限される。
- 手続きは口座のある金融機関ごとに、個別に進める必要がある。
- 遺産分割前でも、1金融機関あたり最大150万円まで「仮払い制度」で引き出せる。
- 相続税の申告・納付期限は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内。
預貯金 相続手続き やり方の結論

預貯金の相続手続きのやり方は、「金融機関へ死亡連絡→必要書類の準備→相続人全員での提出→払戻し」という4段階で進めます。
私が司法書士事務所で相続の補助をしていたとき、いちばん多かったつまずきが「連絡より先に通帳のお金を動かそうとする」ケースでした。これは後でトラブルになります。順番が大事です。
金融機関は口座名義人の死亡を把握すると、原則としてその口座の入出金を制限します。これは全国銀行協会も案内しています。
| ステップ | やること | ここまでできていれば正しい |
|---|---|---|
| 1 | 取引金融機関へ死亡を連絡 | 金融機関から相続手続きの案内が届く |
| 2 | 必要書類を準備 | 戸籍・印鑑証明・所定書類がそろう |
| 3 | 相続人全員で署名・押印して提出 | 金融機関で書類の受付が完了する |
| 4 | 相続払戻金を受け取る | 指定口座に振り込まれる |
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相続の「お金のはてな」で最初に答えるべきは、「凍結された口座から、当面の生活費や葬儀費用をどう出すか」です。

ここで使えるのが2019年施行の「仮払い(相続預金の払戻し)制度」です。遺産分割が終わる前でも、一定額までなら相続人が単独で引き出せます。
上限は金融機関ごとに「預金額 × 法定相続分 × 1/3」と「150万円」のうち低い方です。葬儀費用や当座の支払いに充てたい、というニーズに応える制度です。
カテゴリ別
必要書類は「遺言書がある」「遺言書がない」「家庭裁判所の調停調書・審判書がある」の3カテゴリで大きく変わります。
自分がどのケースに当てはまるかを最初に見極めると、集める書類が一気に絞れます。逆にここを飛ばすと、二度手間になりがちです。
| ケース | 基本の考え方 | 相続人全員の署名押印 |
|---|---|---|
| 遺言書がある | 原則として遺言の内容に従って取得 | 不要なことが多い |
| 遺言書がない | 遺産分割協議書などで合意を示す | 必要になることが多い |
| 調停調書・審判書がある | 裁判所の書面に従って取得 | 不要 |
なお、遺言書がなくても法定相続分どおりに分ける場合は、遺産分割協議書が不要な扱いになることがあります。金融機関の取扱いによるので、連絡時に確認してください。
(1)遺言書がある場合

遺言書がある場合は、原則として遺言の内容に従って預貯金を取得します。
このケースは比較的シンプルです。遺言で「この預金は誰に」と決まっていれば、相続人全員の合意書面(遺産分割協議書)を作る必要が薄くなるからです。
用意するのは遺言書、被相続人の死亡が分かる戸籍、預金を受け取る人の印鑑証明書、金融機関所定の請求書が中心になります。ただし自筆証書遺言は家庭裁判所の検認が必要なことがあるため、ここは要確認です。
遺言書がない場合
遺言書がない場合は、相続人全員で誰がいくら受け取るかを決め、遺産分割協議書などで合意を示すのが基本です。

全国銀行協会も、相続手続きでは金融機関所定の書類への記入と、相続人の署名・捺印が必要になると案内しています。つまり、相続人の一人だけで勝手には進められません。
私の経験上、ここで時間がかかるのは戸籍集めです。被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍をそろえる必要があり、本籍を何度も移している人ほど大変でした。早めに着手するのが正解です。
前述のとおり、法定相続分どおりに分ける場合は遺産分割協議書が不要な扱いになることもあります。
(4)家庭裁判所による調停調書・審判書がある場合
相続人間で話がまとまらず家庭裁判所の調停・審判を経た場合は、調停調書または審判書に従って預貯金を取得します。
この場合は裁判所の書面が分割内容を確定させているため、相続人全員の署名押印をあらためて求められないのが通常です。書面と、受け取る人の本人確認書類・印鑑証明があれば進みます。
正直に言うと、ここまで来ているケースは関係が複雑なことが多いです。必要書類は金融機関ごとに細かく異なるので、調停調書のコピーを持って早めに窓口へ相談するのが近道だと考えます。
この記事を読んだ人におすすめ

預貯金の手続きと並行して確認しておきたいのが、相続税の申告期限です。
相続税の申告・納付期限は、原則として「相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内」です。預金集めに気を取られて、この期限を見落とす人がいます。
預貯金は金融機関ごとに個別手続きが必要なので、口座が複数の銀行・ゆうちょに散っている人は、申告期限から逆算して動くのが安全です。
預金相続の手続の流れ
預金相続の手続きは、「死亡連絡→書類準備→提出→受け取り」という流れで進み、書類が整っていれば金融機関側の手続きは比較的スムーズです。

ゆうちょ銀行を例にすると、流れがイメージしやすいです。ゆうちょは名義人死亡後、貯金窓口または相続コールセンターへの申し出から始まる案内になっています。
| STEP | 内容 |
|---|---|
| 1 | 相続のお申し出(窓口または相続コールセンター) |
| 2 | 「相続確認表」の準備 |
| 3 | 「相続確認表」の提出 |
| 4 | 必要書類の準備 |
| 5 | 必要書類(原本)を貯金窓口に提出 |
| 6 | 相続払戻金の受け取り |
窓口に行かずに進めたい場合は「相続Web案内サービス」から始める方法もあります。仕事で平日に窓口へ行けない人は、こちらを検討する価値があります。
本人確認書類って何?
本人確認書類とは、手続きをする相続人が「本人であること」を金融機関に示すための公的な証明書類のことです。
具体的には運転免許証やマイナンバーカードなどが該当します。あわせて、印鑑証明書と実印が求められる場面が多いです。
相続では「相続人が本人かどうか」だけでなく「相続人全員の同意があるか」も確認されます。だからこそ、署名・押印と印鑑証明がセットで必要になるわけです。
結婚に関する口座の手続き

結婚で姓が変わった相続人は、戸籍をたどれば旧姓と新姓のつながりが証明できるため、相続手続き自体は問題なく進められます。
預貯金の相続では、被相続人と相続人の関係を戸籍で示します。婚姻で姓が変わっていても、戸籍の記載で同一人物・続柄が確認できれば大丈夫です。
つまずきやすいのは印鑑証明書です。引っ越しや結婚で住所・姓が変わっていると、実印の登録内容と書類が食い違うことがあります。提出前に最新の印鑑登録になっているか確認してください。
成年後見人は銀行に届出を
相続人の中に判断能力が不十分な人がいて成年後見人が選任されている場合、後見人は金融機関へその旨を届け出たうえで手続きを行います。

遺産分割協議には相続人全員の合意が必要ですが、判断能力が不十分な相続人は単独で有効な合意ができません。そこで成年後見人が本人に代わって関与します。
この場合、後見人であることを示す登記事項証明書などが追加で必要になります。書類が増えるぶん、通常より早めに金融機関へ相談しておくと手続きが滞りにくいです。
よくある質問
預貯金の相続手続きで、検索でよく一緒に調べられる質問にまとめて答えます。
よくある質問
預貯金の相続は、順番さえ守れば難しくありません。まずは通帳やキャッシュカードを手がかりに、取引のある金融機関へ一件ずつ連絡する。今日できる最初の一歩は、それだけです。
