相続登記を自分でやる方法|費用・期間・向き不向きを徹底解説

- 相続登記は2024年4月1日から義務化され、取得を知った日から3年以内の申請が必要です。
- 正当な理由なく3年以内に申請しないと10万円以下の過料の対象になります。
- 自分でやれば司法書士報酬はゼロ。登録免許税(評価額の0.4%)と戸籍などの実費はかかります。
- シンプルな相続なら自分でできますが、複数物件・遺産分割の紛争・遠方物件は司法書士向きです。
- 申請先は不動産の所在地を管轄する法務局で、窓口・郵送・オンラインから選べます。
相続登記 自分でやる方法の結論

相続登記を自分でやる方法とは、不動産の特定から法務局への申請まで6つの工程を自力でこなし、司法書士報酬をかけずに名義を変える手続きのことです。
正直に言うと、書類集めが地味に大変です。でも一つひとつの作業は難しくありません。戸籍を集め、協議書を作り、申請書を書く。それだけです。
法務局の流れも、相続不動産の特定→相続人の確定→必要書類の収集→遺産分割協議書の作成→登記申請書の作成→法務局へ申請、と決まっています。手順がはっきりしているからこそ、初心者でも追える。
相続登記を自分でやるとどうなる?費用・期間・難易度の早見表
自分でやると司法書士報酬が丸ごと浮き、かかるのは登録免許税と書類の実費だけになります。

早見表でざっくりつかんでください。ケースによって振れますが、最初の見当として。
| 項目 | 目安 | ひとこと |
|---|---|---|
| 費用 | 登録免許税(評価額の0.4%)+戸籍等の実費 | 司法書士報酬は不要 |
| 期間 | 書類が揃えば数週間〜、戸籍集めで前後 | 郵送だと往復で日数がかさむ |
| 難易度 | 遺言・法定相続どおりは易、遺産分割協議ありは中 | 相続人が増えるほど難しくなる |
私の感覚では、ネックになるのは費用でも期間でもなく「戸籍集め」です。ここで手が止まる人が一番多い。
自分でやった場合にかかる費用の目安(登録免許税+実費)
自分でやる場合の費用の柱は、登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)と、戸籍・住民票・評価証明書などの取得実費です。
たとえば評価額が1,000万円の不動産なら、登録免許税は4万円です。1,000万円×0.4%で計算します。
これに戸籍謄本や住民票の取得手数料が積み上がります。被相続人の出生から死亡までを集めるので、数通〜十数通になることもある。
司法書士に依頼した場合との費用比較

司法書士に頼むと報酬が上乗せされる一方、自分でやれば登録免許税と実費だけで済みます。
報酬額は事務所や案件の難易度で変わるため、ここで具体的な金額は断定しません。複数物件や戸籍が膨大なケースほど報酬は上がります。
| 費用項目 | 自分でやる | 司法書士に依頼 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | かかる(評価額の0.4%) | かかる(同じ) |
| 戸籍等の実費 | かかる | かかる |
| 司法書士報酬 | 不要 | かかる |
私の立場で正直に言うと、戸籍が1〜2通で済むシンプルな相続なら、報酬を払うのは少しもったいない。逆に出生から死亡までの戸籍が転籍だらけなら、報酬を払う価値は十分あります。
自分でやるのにかかる期間の目安
期間の大半は書類集めで決まり、戸籍が揃ってからの申請自体は比較的早く片づきます。

被相続人が何度も本籍を移していると、その都度別の役所に請求が必要でした。郵送だと1往復で数日〜1週間。これが重なると一気に膨らみます。
2024年3月から始まった戸籍の広域交付制度を使えば、最寄りの市区町村の窓口でまとめて取れるようになりました。ここが期間短縮の最大のポイントです。
相続登記を自分でできるケース・できないケースの判断基準
判断基準はシンプルで、「相続人が少なく、物件が少なく、もめていない」なら自分で、どれかが崩れたら司法書士を検討、です。
遺産分割協議で登記する場合は相続人全員の合意が必要で、協議書には全員の署名押印が要ります。ここに不安があるなら、無理をしない。
自分でできるケース(シンプルな相続・少人数・物件1件など)

相続人が配偶者と子だけ、物件が自宅1件、争いがない――この条件が揃えば、自分でやるのが現実的です。
- 遺言書があり、その内容どおりに登記すればよいケース。
- 法定相続分どおりに登記するケース。
- 相続人が少人数で、全員が協力的なケース。
- 対象不動産が1〜2件で、共有持分や私道が絡まないケース。
私が補助者時代に「これは自分でやれたのに」と感じたのは、まさにこのパターンの方々でした。シンプルなのに不安で依頼してしまう。もったいない。
司法書士に任せるべきケース(複数物件・遺産分割紛争・遠方物件など)
複数物件・遺産分割の紛争・遠方物件・相続人が多数――このどれかに当てはまるなら、司法書士に任せたほうが安全です。

- 物件が複数あり、それぞれ管轄法務局が異なるケース。
- 遺産分割でもめていて、全員の合意が取れないケース。
- 代襲相続や兄弟姉妹相続で相続人が予想外に多いケース。
- 遠方や海外に相続人がいて、書類のやり取りが難しいケース。
- 数次相続が重なり、戸籍が膨大になっているケース。
特に兄弟姉妹相続は要注意です。被相続人の親の戸籍までさかのぼるので、戸籍の量が一気に増えます。ここは正直、自分でやるのは骨が折れる。
ケース別の難易度一覧表(遺言あり/遺産分割協議あり/法定相続分どおり)
難易度は「遺言あり=易」「法定相続分どおり=易〜中」「遺産分割協議あり=中」の順に上がります。
| ケース | 難易度 | ポイント |
|---|---|---|
| 遺言あり | 易 | 遺言書の内容どおりに登記。協議書は不要 |
| 法定相続分どおり | 易〜中 | 協議書は不要だが全相続人の戸籍が必要 |
| 遺産分割協議あり | 中 | 相続人全員の署名押印・印鑑証明書が必要 |
差が出るのは協議書の有無です。協議ありは全員の実印と印鑑証明書を集める手間が増えます。
相続登記を自分でやる7ステップの全体像と手続きの流れ

相続登記を自分でやる手順は、物件調査・相続人調査・書類収集・書類作成・署名押印・申請書作成・申請の7ステップに整理できます。
以下、1ステップ=1動作で並べます。各ステップに「ここまでできていればOK」の目安を添えました。
STEP1 物件調査。登記事項証明書を取り、対象不動産をすべて洗い出します。地番・家屋番号は権利証や固定資産税の納税通知書で確認。私道・共有持分・複数筆の漏れに注意。所有不動産記録証明制度や名寄帳を使うと漏れを防げます。→ 対象不動産が一覧できていればOK。
STEP2 相続人調査。被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等を集め、相続人を確定します。2024年3月からの広域交付制度を使えば、最寄りの窓口でまとめて取れます。古い手書き戸籍は読みにくいので、転籍の流れを追って漏れを防ぐ。→ 相続人が全員確定できていればOK。
STEP3 必要書類収集。住民票(除票)、相続人の戸籍、固定資産評価証明書などを役所で集めます。ケース(遺言あり/協議あり/法定相続)で必要書類が変わる点に注意。オンラインや郵送で取れるものと窓口限定のものを仕分けると効率的。→ チェックリストの書類が揃えばOK。
STEP4 書類作成。遺産分割協議があるなら遺産分割協議書を、相続関係説明図も作ります。協議書は不動産の特定(所在・地番・家屋番号)を登記事項証明書どおりに書くのがコツ。ここの記載ミスは法務局の補正で一番多い。→ 不動産が正確に特定できていればOK。
STEP5 署名・実印押印。遺産分割協議書に相続人全員が署名し、実印を押します。印鑑証明書を添えるのは、その印が実印だと証明するため。遠方や海外の相続人がいる場合は、郵送や在外公館の証明で対応します。→ 全員分の署名・実印・印鑑証明が揃えばOK。
STEP6 登記申請書の作成。申請書に登録免許税(評価額の0.4%)を計算して記載し、収入印紙で納付します。複数枚になるときの綴り方・契印・提出部数も確認。→ 申請書と添付書類が1セットにまとまればOK。
STEP7 法務局へ申請。不動産所在地を管轄する法務局に、窓口・郵送・オンラインのいずれかで申請します。完了すると登記識別情報通知が交付されます。→ この通知を受け取れたら、名義変更は完了です。
7ステップのロードマップ一覧
全体像を1枚にすると、どこまで進んだかが一目で分かります。

| STEP | やること | 完了の目安 |
|---|---|---|
| 1 | 物件調査(登記事項証明書の取得) | 対象不動産が一覧できる |
| 2 | 相続人調査(戸籍を集める) | 相続人が全員確定する |
| 3 | 必要書類収集(住民票・評価証明書等) | チェックリストの書類が揃う |
| 4 | 書類作成(遺産分割協議書・関係説明図) | 不動産が正確に特定できる |
| 5 | 署名・実印押印 | 全員分の署名・実印・印鑑証明が揃う |
| 6 | 登記申請書の作成・登録免許税の納付 | 申請書が1セットにまとまる |
| 7 | 法務局へ申請・完了確認 | 登記識別情報通知を受け取る |
この表を印刷して、終わったステップに線を引いていくと進みが見えます。私が補助者のとき、依頼者にも同じやり方を勧めていました。
よくある質問
相続登記を自分でやる方法について、よく一緒に調べられる質問にまとめて答えます。
よくある質問
最後にひとつだけ。自分でやるか迷ったら、まず登記事項証明書を1通取ってみてください。物件の中身が見えると、自分でやれそうか、頼んだほうがいいかの判断が一気につきます。動き出すのが、結局いちばん早いです。
