ホーム › 不動産相続の名義変更にかかる費用は?相場と内訳・節約方法を徹底解説

不動産相続の名義変更にかかる費用は?相場と内訳・節約方法を徹底解説

梶原 利恵 / 更新:2026-06-20
不動産相続の名義変更にかかる費用は?相場と内訳・節約方法を徹底解説
親の家を相続したけれど、名義変更にいくらかかるのか分からず手が止まっている。そんな声をよく聞きます。結論から言うと、主な費用は登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)と司法書士報酬(5万~15万円)、それに戸籍などの取得実費です。

私は司法書士事務所で8年間、相続登記の補助者をしてきました。その経験から、費用の内訳・ケース別の計算例・自分でやる場合との比較・安く抑えるコツを、現場目線で整理します。

2024年4月から相続登記は義務化されました。放置すると過料の対象になり、しかも数次相続で費用が膨らみます。期限の話から先に押さえておきましょう。

不動産相続の名義変更(相続登記)とは?2024年4月から義務化

【相続問題】相続登記を司法書士に依頼した場合の費用は?ご自身で変更する手順もプロが解説します!【司法書士が解説】#相続  #遺産相続 #不動産名義 #司法書士
【相続問題】相続登記を司法書士に依頼した場合の費用は?ご自身で変更する手順もプロが解説します!【司法書士が解説】#相続 #遺産相続 #不動産名義 #司法書士

相続登記とは、亡くなった人の名義になっている不動産を、相続人の名義に書き換える手続きです。法務局へ申請します。これが2024年4月1日から義務になりました。

相続登記の申請期限と過料10万円以下の運用実態

申請期限は、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内です。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になります。

不動産相続の名義変更にかかる費用は?相場と内訳・節約方法を徹底解説

注意したいのが、過去の相続にもさかのぼって適用される点です。2024年4月1日より前に亡くなっていて未登記の不動産は、原則として2027年3月31日までが猶予期限になります。

正直に言うと、施行直後の今は、いきなり過料が来るより先に法務局からの催告が入る運用が中心です。とはいえ催告を無視すれば過料に進みます。「まだ大丈夫」と放置するのは勧めません。

登記を放置するとどうなる(売却・担保・権利関係のリスク)

名義が亡くなった人のままだと、その不動産は売れません。買主への所有権移転ができないからです。

金融機関の担保(抵当権)にも入れられません。家を担保に融資を受けたいときに動けなくなります。

さらに厄介なのが権利関係です。相続人が亡くなって次の相続人へと枝分かれすると、関係者が一気に増え、全員の合意を取るのが現実的に難しくなります。

放置で数次相続になった場合の費用爆発の具体例

私が現場で見た中で一番大変だったのが、祖父名義のまま2世代放置されたケースです。最初は子3人で済んだはずが、各人が亡くなって相続人が十数名に膨らんでいました。

こうなると戸籍の取得通数が跳ね上がります。1通450円~750円でも、人数×世代分を集めると実費だけで万単位になります。

それ以上に重いのが手間です。疎遠な親族へ連絡し、遺産分割協議書に全員の実印と印鑑証明書をそろえる。司法書士報酬も難易度に応じて加算され、放置しなければ数万円で済んだものが数十万円規模になることもあります。早く動くほど安く済む、これは断言できます。

不動産相続の名義変更にかかる費用の内訳と相場

費用は大きく3つです。必要書類の取得実費、登録免許税、そして司法書士に頼む場合の報酬。まず全体像を表で押さえます。

不動産相続の名義変更にかかる費用の内訳と相場
相続登記の費用の内訳と相場
費用項目金額の目安補足
必要書類の取得費用数千円~戸籍・住民票・評価証明書などの実費
登録免許税評価額の0.4%相続の場合の税率。1000円未満切捨て
司法書士報酬5万~15万円公定料金はなく事務所ごとに異なる

必要書類の取得費用は数千円程度

戸籍や住民票などを集める実費です。自治体や通数で変わりますが、代表的な手数料は次のとおりです。

主な必要書類の取得手数料の目安
書類手数料の目安
戸籍謄本450円
除籍・改製原戸籍750円
戸籍の附票300円
住民票300円
印鑑登録証明書300円
固定資産評価証明書300円前後

必要書類は、被相続人の出生から死亡までの戸籍類、相続人全員の戸籍謄本、被相続人の住民票除票、不動産を取得する人の住民票、遺産分割協議書(必要な場合)、印鑑証明書、固定資産評価証明書などです。

登録免許税は固定資産税評価額の0.4%

相続登記の主役級コストが登録免許税です。相続の場合、税率は固定資産税評価額×0.4%。評価額は固定資産税の課税明細書や評価証明書で確認できます。

たとえば評価額2,000万円なら、2,000万円×0.4%=8万円。計算後は1,000円未満を切り捨てます。評価額さえ分かれば自分で概算できる、シンプルな仕組みです。

遺贈で税率が上がるケース・非課税になるケース

相続人以外への遺贈だと、税率が高くなる場合があります。法定相続人が相続する0.4%と同じ感覚でいると、計算が合わなくなるので注意してください。

逆に、一定の条件を満たす土地には登録免許税の免税措置が設けられています。適用できるかは個別要件で決まるので、評価額の低い土地ほど確認する価値があります。

司法書士報酬の相場は5万~15万円

司法書士報酬は法律で一律に決まっていません。日本司法書士会連合会も、報酬は各司法書士が定めると示しています。

民間の相場としては数万円台後半~十数万円の紹介が多く、私の感覚でも標準的な1件で5万~15万円に収まります。ただし相続人の数や不動産の筆数(個数)が増えると加算されます。

ケース別・費用の具体的な計算例

相続不動産の名義変更は何から始める?費用と流れを全解説
相続不動産の名義変更は何から始める?費用と流れを全解説

同じ「名義変更」でも、相続の形によって手間と書類が変わります。評価額2,000万円・司法書士報酬を仮に8万円とした前提で、ケース別に見ていきます。

遺産分割協議による相続の場合

相続人全員で話し合い、誰が不動産を取得するか決める方法です。遺産分割協議書に全員の実印と印鑑証明書が要ります。

費用は登録免許税8万円+戸籍など実費数千円~+司法書士報酬8万円で、総額16万円台が目安です。相続人が多いほど印鑑証明書の取得や調整の手間が増えます。

遺言書・法定相続分による相続の場合

有効な遺言書で取得者が決まっていれば、遺産分割協議は不要です。その分、必要書類が減り、手続きはシンプルになります。

法定相続分どおりに共有で登記する場合も協議書は要りませんが、後で共有を解消するのが面倒です。私は、特定の人が住み続けるなら共有登記より単独取得をすすめます。

複数不動産・共有名義・マンションと土地が混在する場合

登録免許税は不動産ごとに評価額を合計して計算します。土地と建物、敷地権付きマンションがあれば、それぞれの評価額を足して0.4%です。

複数不動産での登録免許税の計算イメージ
不動産評価額税額(0.4%)
土地1,200万円4万8,000円
建物800万円3万2,000円
合計2,000万円8万円

筆数が増えると司法書士報酬も加算されやすい部分です。見積もり時に「筆数いくつでこの金額か」を確認しておくと安心です。

評価額が低い地方物件での費用相場の違い

地方の山林や評価額の低い土地だと、登録免許税はぐっと下がります。評価額200万円なら0.4%で8,000円です。

ところが司法書士報酬は評価額に完全比例するわけではなく、安い物件でも基本作業は同じです。結果として、評価額が低い物件ほど総額に占める報酬の割合が大きくなります。ここは率直に、地方物件こそ自分で申請する選択も検討する価値があります。

自分でやるか専門家に依頼するかの比較

費用を抑えたいなら自分で、確実さと時短を取るなら司法書士。判断の軸を表で並べます。

自分でやるか専門家に依頼するかの比較
自分でやる場合と司法書士依頼の比較
観点自分でやる司法書士に依頼
かかる費用登録免許税+実費のみ左記+報酬5万~15万円
手間・時間戸籍収集から申請まで自分でほぼ任せられる
向くケース相続人が少なく単純相続人が多い・遠方・複雑

自分で名義変更する場合の費用と手順6ステップ

自分でやれば報酬はゼロ。かかるのは登録免許税と書類の実費だけです。手順は次の6つです。

自分で相続登記する6ステップ
手順内容
登記簿謄本(登記事項証明書)を取得する
相続人全員の調査を実施する
必要書類を用意する
固定資産課税明細書で評価額を確認し登録免許税を計算
相続登記申請書を作成する
法務局で登記申請の手続きを行う

一番つまずくのは②と⑤です。出生からの戸籍を読み解いて相続人を確定する作業と、申請書の様式を整える作業。ここで間違えると法務局から補正の連絡が来ます。

司法書士に依頼する場合の費用とメリット

報酬5万~15万円を払う代わりに、戸籍収集・書類作成・申請まで丸ごと任せられます。平日に法務局へ通えない人には、これだけで価値があります。

私の実感では、相続人が3人を超える、遠方に物件がある、戸籍が大量、このどれかに当てはまるなら依頼した方が結果的に安く早く終わります。

オンライン申請を使った場合の費用・手間の違い

法務局はオンラインでの登記申請に対応しています。窓口へ行かずに申請でき、郵送往復の時間も省けます。

ただし登録免許税の額そのものは変わりません。電子署名の準備などの初期設定があり、1件きりの相続登記のために環境を整えるのは、正直ハードルが高いと感じます。何件も扱う司法書士向けの仕組み、というのが本音です。

費用をかけてでも依頼したほうがよい人の特徴

次のいずれかに当てはまるなら、迷わず依頼を勧めます。相続人が疎遠・行方不明・認知症、数次相続で関係者が多い、遺産分割でもめそう、複数不動産がある。

これらは自分でやると時間がかかるうえ、ミスのリスクも高い領域です。報酬以上のものを節約できます。

費用が高くなりやすいケースと実務的な対応

想定外の追加費用は、たいてい相続人側の事情から生まれます。現場でよく見るパターンと、その対応を挙げます。

費用が高くなりやすいケースと実務的な対応

相続人が疎遠・行方不明・認知症の場合の追加費用

行方不明の相続人がいると、不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立てる必要が出ます。認知症で判断能力がない相続人には成年後見人が要ります。

いずれも家庭裁判所の手続きが絡み、別途の申立費用や専門家報酬が発生します。相続登記単体の費用とは桁が変わるので、早めに専門家へ相談してください。

遺産分割協議が揉めた場合の費用増加と弁護士費用の比較

協議がまとまらないと、調停や審判に進みます。ここからは司法書士の領域を超え、弁護士の出番です。

弁護士費用は着手金と報酬金が中心で、司法書士報酬とは比較にならない金額になりがちです。だからこそ、もめる前に話し合いで決着させる価値が大きい。私が一番伝えたいのはこの点です。

旧姓・住所変更が絡む場合の追加登記費用

被相続人や相続人の住所・氏名が登記簿と現在で食い違うと、前提として住所変更登記や氏名変更登記が必要になることがあります。

その分、登録免許税や書類の取得が増えます。引っ越しや結婚で記録がずれているケースは珍しくないので、登記簿の記載は早めに確認しておきましょう。

司法書士の選び方と報酬を安く抑える方法

相続登記を司法書士に依頼した場合の費用はどのくらいか
相続登記を司法書士に依頼した場合の費用はどのくらいか

報酬に公定料金がない以上、選び方で総額が変わります。賢く比べる方法を具体的に書きます。

見積もりの取り方と相見積もりの注意点

見積もりは最低2~3社から取りましょう。その際、相続人の数・不動産の筆数・評価額を同じ条件で伝えるのがコツです。条件がそろわないと比較になりません。

注意点は「報酬」と「実費」を分けて見ること。報酬だけ安くても、登録免許税や戸籍取得代行費を含めた総額で逆転することがあります。必ず総額で比べてください。

報酬を安く抑えるコツ

戸籍収集を自分で済ませてから依頼すると、その分の代行報酬を減らせます。出生からの戸籍を自分で集めておくだけで効果があります。

また、相続人が少なく物件も1つなら、思い切って自分で申請するのが一番安い。報酬5万~15万円がまるごと浮きます。

費用を払えない場合の分割払い・法テラス・無料相談

まとまった費用が厳しいときは、分割払いに応じる事務所もあります。見積もり時に相談してみてください。

資力が一定以下なら、法テラスの立替制度を利用できる場合があります。自治体や司法書士会の無料相談も活用すれば、最初の方針決めはお金をかけずに進められます。

名義変更にかかる期間と関連する税金・コスト

費用と並んで気になるのが期間と、他の税金との関係です。相続税や不動産取得税まで含めて整理しておきます。

名義変更にかかる期間と関連する税金・コスト

手続き開始から完了までの期間の目安

私の実務感覚では、書類がそろっていれば申請から登記完了まで1~2週間ほどです。法務局の混み具合で前後します。

時間がかかるのは申請前の準備です。出生からの戸籍集めに数週間、相続人が多い遺産分割協議だと数か月かかることも。トータルでは1~3か月を見ておくと現実的です。

相続税・不動産取得税との関係整理

まず押さえてほしいのは、相続税は名義変更そのものにかかる税ではないことです。遺産総額が基礎控除を超えた場合だけ発生します。

基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数。申告期限は相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。なお、相続による取得には不動産取得税はかかりません。ここを混同している人が本当に多いです。

名義変更後のランニングコストと売却・賃貸時の経費計上

名義変更が終わると、固定資産税の納税義務が相続人に移ります。マンションなら管理費・修繕積立金も引き継ぎます。持ち続ける限りかかる費用です。

相続した不動産を売却・賃貸する場合、登記費用や司法書士報酬は取得費や必要経費として扱える場面があります。確定申告で漏らさないよう、領収書は必ず保管しておきましょう。

不動産相続の名義変更の費用についてよくある質問

よくある質問

不動産相続の名義変更(相続登記)とは?
亡くなった人名義の不動産を相続人の名義に書き換える、法務局への手続きです。2024年4月1日から義務化され、取得を知った日から3年以内の申請が必要です。
名義変更の費用はいくらかかる?
主な費用は3つです。登録免許税が固定資産税評価額の0.4%、司法書士に頼む場合の報酬が5万~15万円、戸籍などの取得実費が数千円~。評価額2,000万円・報酬8万円なら総額16万円台が目安です。
自分で相続登記すると費用はいくら?
司法書士報酬がかからないため、登録免許税(評価額の0.4%)と書類の取得実費だけです。評価額2,000万円なら登録免許税8万円+実費数千円程度で済みます。
名義変更の始め方は?
まず登記事項証明書で物件と現在の名義を確認し、相続人を戸籍で調査します。必要書類をそろえ、評価額から登録免許税を計算し、申請書を作って法務局へ提出します。相続人が多い・複雑なら司法書士に相見積もりを取りましょう。

最後に一言。相続登記は、早く動くほど安く・楽に終わります。放置して数次相続になる前に、まずは登記簿の確認と戸籍集めから始めてください。それが一番の節約です。

この記事について質問できますAIが記事をもとに答えます
こんにちは。この記事について、下の候補から選ぶか、自由に質問できます。

梶原 利恵

元司法書士事務所スタッフ(補助者歴8年) ・ 相続・不動産登記分野の専門Webメディア編集者

司法書士事務所での補助者経験をもとに、相続登記・遺産整理の実務を取材・執筆。制度改正や現場の声を一次情報として丁寧に伝えることを大切にしています。

メルマガ登録

梶原 利恵
梶原 利恵
司法書士事務所での補助者経験をもとに、相続登記・遺産整理の実務を取材・執筆。制度改正や現場の声を一次情報として丁寧に伝えることを大切にしています。

記事には書ききれない現場のリアルや最新の動きを、わたしから直接メルマガでお届けします。よかったら登録してください。

登録は無料・いつでも解除できます。