相続手続き期限一覧|放棄・申告・登記の締め切りを徹底解説

- 相続放棄・限定承認は、相続開始を知った時から3カ月以内に家庭裁判所へ申述する。
- 準確定申告は、相続開始を知った日の翌日から4カ月以内に行う。
- 相続税の申告・納付は、相続開始を知った日の翌日から10カ月以内が期限。
- 相続登記は2024年4月1日から義務化され、取得を知った日から3年以内に申請する。
- 死亡届は死亡を知った日から7日以内に市区町村へ提出する。
相続手続き 期限 一覧の結論

相続手続きは「3カ月・4カ月・10カ月・3年」の4つの期限をまず押さえれば、致命的な失敗はほぼ防げます。
私は司法書士事務所で8年、相続の現場を見てきました。相談で多いのは「気づいたら3カ月が過ぎていて相続放棄ができない」というケースです。借金が後から判明する例もあり、ここは本当に取り返しがつきません。
逆に言えば、期限さえ把握していれば慌てる必要はありません。下の表で全体像をつかんでから、個別の手続きを順に進めてください。
| 期限 | 手続き | 起算日 | 提出先・根拠 |
|---|---|---|---|
| 7日以内 | 死亡届 | 死亡を知った日 | 市区町村役場(戸籍法86条) |
| 14日以内が目安 | 健康保険・介護保険の資格喪失 | 死亡日 | 市区町村役場 |
| 3カ月以内 | 相続放棄・限定承認 | 相続開始を知った時 | 家庭裁判所(民法915条) |
| 4カ月以内 | 準確定申告 | 相続開始を知った日の翌日 | 税務署(国税庁) |
| 10カ月以内 | 相続税の申告・納付 | 相続開始を知った日の翌日 | 税務署(国税庁) |
| 1年以内 | 遺留分侵害額請求 | 相続開始と侵害を知った時 | 民法1048条 |
| 3年以内 | 相続登記 | 取得を知った日 | 法務局(不動産登記法) |
| 3年 | 生命保険金の請求 | 支払事由発生時 | 保険会社(保険法) |
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相続でもめそうな場合や期限が迫っている場合は、早めに弁護士へ相談するのが現実的な対処です。

特に遺産分割で揉めている、相続放棄の3カ月期限が近い、遺留分を請求したいといったケースは、自分で判断するより専門家に投げたほうが結果として早く・安く済むことが多いです。
私の経験では、相談のタイミングが早いほど選べる選択肢が増えます。期限ギリギリだと「もう放棄しか手がない」となりがちです。費用や相性を確認するうえでも、複数の専門家に問い合わせて比較するのをおすすめします。
1. 遺産相続に必要な手続きの期限
遺産相続の手続きは、法律で期限が定められたものと、期限のないものに分かれます。
期限があるのは相続放棄(3カ月)、準確定申告(4カ月)、相続税(10カ月)、相続登記(3年)などです。一方で遺産分割協議そのものには明確な期限がありません。
ただし「期限がない=後回しでいい」ではありません。遺産分割が10カ月以内にまとまらないと、相続税の特例(配偶者の税額軽減など)が一度使えなくなり、納税で損をします。期限のない手続きも、実は10カ月の壁とつながっているのです。
起算日が「死亡日」なのか「相続を知った日」なのかで数日ずれることもあります。前述の一覧表で、自分のケースの起点を確認しておいてください。
2. 【3カ月】相続放棄、限定承認の期限

相続放棄と限定承認は、自己のために相続開始があったことを知った時から3カ月以内に、家庭裁判所へ申述しなければなりません(民法915条)。
この3カ月を熟慮期間と呼びます。期間内に何もしなければ、自動的に単純承認=プラスもマイナスも全部相続したことになります。
正直、この章だけは飛ばさず読んでほしい。私が見てきた中で、後悔する人がいちばん多いのがここです。
2-1. 相続放棄、限定承認とは
相続放棄とは、被相続人の財産も負債もいっさい受け継がない手続きです。限定承認とは、相続したプラスの財産の範囲内でだけ負債を引き受ける手続きです。

相続放棄は相続人が一人でできます。これに対し限定承認は、相続人全員が共同で申述しなければならないのが大きな違いです。だから実務では限定承認はあまり使われません。手続きが重いんです。
いずれも家庭裁判所への申述が必要で、口頭で「放棄します」と言うだけでは効力がありません。ここを勘違いしている方が本当に多い。
2-2. 相続放棄や限定承認を検討すべきケース
借金や保証債務が財産より多い、あるいは負債の全体像が分からないときは、相続放棄か限定承認を検討すべきです。
- 故人に消費者金融やカードローンの借金があることが分かっている。
- 連帯保証人になっていた可能性がある。
- 財産より負債のほうが明らかに多い。
- プラスかマイナスか判断がつかず、負債の上限を区切りたい(限定承認)。
判断がつかないなら、まず財産調査を急いでください。3カ月では足りないと感じたら、後述の熟慮期間の延長を家庭裁判所に申し立てる手があります。
2-3. 熟慮期間は3カ月

熟慮期間は相続開始を知った時から3カ月で、この間に承認するか放棄するかを決めます。
重要なのは起算点です。被相続人の死亡日ではなく「自分が相続人になったと知った時」が基準。疎遠な親族の死を後から知った場合などは、知った時点から3カ月と考えます。
財産調査が間に合わないときは、家庭裁判所へ「熟慮期間伸長の申立て」ができます。私の勤務先でも、遠方の不動産や負債の確認に時間がかかるケースでこれを使いました。3カ月を過ぎてから慌てるより、早めに伸長を申し立てるほうが確実です。
3. 【4カ月】準確定申告の期限
準確定申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内に行います(国税庁)。

これは亡くなった人の、その年の1月1日から死亡日までの所得を、相続人が代わって申告・納税する手続きです。通常の確定申告とは期限がまったく違うので注意してください。
3-1. 準確定申告をすべきケース
故人に給与・年金以外の所得があった場合や、医療費が多くて還付が見込める場合は準確定申告が必要、または有利になります。
- 故人が個人事業を営んでいた。
- 不動産所得や株式の譲渡所得があった。
- 年金収入が一定額を超えていた。
- 高額な医療費を払っており、申告で還付を受けられる。
逆に、収入が年金のみで一定額以下なら申告不要なこともあります。判断に迷うなら税理士に確認するのが早いです。
3-2. 準確定申告の期限の延長は原則できない

準確定申告の4カ月という期限は、原則として延長できません。
相続放棄の熟慮期間のような「伸長の申立て」の仕組みがないんです。だから4カ月は意外と短い。所得の資料集めに手間取ると、あっという間に過ぎます。
故人が事業をしていた場合は、帳簿や領収書の整理を死亡直後から始めるくらいでちょうどいい。後回しにすると4カ月では本当に足りません。
4. 【10カ月】相続税の申告・納付の期限
相続税の申告・納付は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内です(国税庁)。

ただし、相続財産が基礎控除額以下なら申告も納税も不要です。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。
| 法定相続人の数 | 基礎控除額 |
|---|---|
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
申告書の提出先は、原則として被相続人の死亡時の住所地を管轄する税務署です。相続人の住所地ではない点に注意してください。
納税資金が間に合わないときは延納(分割払い)や物納(現物での納付)という制度があります。延納・物納は申請と担保が必要で、誰でも自動的に使えるわけではありません。10カ月の期限内に申請しないと使えないので、資金繰りが厳しいと分かった時点で税理士へ相談してください。
遺産分割が10カ月以内にまとまらない場合は、いったん法定相続分で申告・納税し、後日「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しておくと、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を後から適用できます。これを出し忘れると特例が使えず、税額が跳ね上がります。
なお相続登記は2024年4月1日から義務化され、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内の申請が必要です。違反には10万円以下の過料が定められています。
生命保険金の請求権の時効は一般に3年です(保険法)。期限が近いと気づいたら、まず保険会社に連絡してください。書類が揃えば時効直前でも受け付けてもらえることがあります。
よくある質問
相続手続きの期限について、相談現場でよく聞かれる質問をまとめました。
よくある質問
期限の早いものから一つずつ片づければ、相続手続きは必ず終わります。まずは自分のケースの起算日を確認して、3カ月の相続放棄だけは絶対に逃さないようにしてください。迷ったら、早い段階で弁護士・司法書士・税理士に相談を。
